今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2018年3月:「伊藤 千尋」さん

伊藤 千尋

伊藤 千尋(いとうちひろ)さん

1949年山口県生まれ。東京大学法学部卒。74年朝日新聞社に入社。東京本社外報部などを経て、84~87年サンパウロ支局長。88年『AERA』創刊編集部員を務めた後、91~93年バルセロナ支局長。2001~04年ロサンゼルス支局長。現在はフリーの国際ジャーナリスト。「コスタリカ平和の会」共同代表、「九条の会」世話人も務める。著書は「一人の声が世界を変えた!」(新日本出版)「キューバ 超大国を屈服させたラテンの魂!」(高文研)「凛とした小国」(新日本出版)ほか多数。

『小さな国の制度や価値観から日本はたくさんのことが学べる』

「幸せですか?」と聞くと、即座に「幸せです」と返ってくる国

中 川:
伊藤さんが書かれた「凛とした小国」(新日本出版社)という本を読ませていただきました。アメリカやヨーロッパの国々、オーストラリア、中国といったところには興味があっても、あまり名前も聞かないような小さな国に関心をもつ人は少ないと思います。伊藤さんの本には、コスタリカ、キューバ、ウズベキスタン、ミャンマーが紹介されていましたが、国の名前こそ知っていてもどんな国かはほとんど知りませんでした。本を読ませていただいて、日本も大国の方ばかり見ずに、小さな国からもたくさん学ぶことがあるのではと思いました。
伊 藤:

ありがとうございます。日本は経済大国だと言っているし、国民はみんな、そう思っているじゃないですか。でも、一人ひとりを見ると幸せだと思っている人は少ないのではないですか。コスタリカは貧しい国だけれども、それでも会う人会う人が幸せそうな顔をしています。「幸せですか?」と聞いてみると、言下に「幸せです」と答えるんですね。日本人で「幸せですか?」と聞かれて、すぐに幸せですと答えられる人は少ないだろうと思ますよ。
中 川:
日本人で「幸せです」と胸を張って答えられる人は少ないでしょうね。伊藤さんは、学生時代にキューバに行かれてから小さな国に興味をもたれたようですね。
伊 藤:
そう思ったのは20歳のときですね。あのころは、とにかく外国へ行きたくてたまらなかったですよ。と言うのは、日本の社会の息苦しさをすごく感じていましたから。中学と高校で生徒会長をやりました。生徒手帳を見ると、やたらと細かい規則が書いてあるじゃないですか。あれするな、これするなばかりで、これじゃあ人間が委縮すると疑問に思っていました。なんで日本はこうなのだろう? と思うわけですよ。外から日本を見ればわかるんじゃないか、日本の常識と世界の常識とは違うんじゃないか、とにかく出てみようと思ったんですよ。
中 川:
それでキューバに行かれたのですか。だいたい、当時の若者のあこがれはアメリカじゃないですか。それに、あのころキューバに入国することはできたのですか?
伊 藤:

会長のおっしゃる通り、海外へ行くとしたら、みなさんアメリカかヨーロッパでしたね。も、ぼくはみんなが行くところは行きたくありませんでした。大きなものとか権力のあるところに群がることが恥ずかしいと思っていましたから。だれも目を向けない知らないところへ行きたかったですね。そこで選んだのがキューバでした。社会主義でも小さな社会主義の国には、正しいとは限らないけれども、新しい価値観、面白いものがあるのではないかと思ったのです。
当時はキューバへは個人では行けませんでしたから団体で行きました。キューバの産業は砂糖だけでサトウキビを人力で刈っていましたが、革命が起こってから多くの人が亡命して人手が足りない状態でした。それで、アメリカの学生が、政府はキューバに対して経済制裁をしているから、若者がキューバを助けようと立ち上がり、何百人とキューバに渡ってサトウキビを刈るという労働奉仕をやっていました。日本からも行こうという団体ができて、それが新聞に載りました。このツアーに申し込んで、1971年にキューバに行き、半年間滞在しました。

<後略>

(2018年1月17日 東京都狛江市の 伊藤千尋さん の仕事場にて 構成/小原田泰久)

著書の紹介

著書の紹介

「凛とした小国」 伊藤千尋 著 (新日本出版)

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